原理と選び方
フェードと音量調整の違いを知る
フェードは音の一部分に時間変化をつけ、音量調整は選択した区間全体の振幅を倍率で変えます。用途を分けると、末尾の急な切れや音割れを避けやすくなります。
フェードは「区間内の倍率」を動かす
フェードインでは、選択範囲の先頭を小さく始め、設定秒数のあいだに通常の振幅へ上げます。フェードアウトはその逆です。ひび音声工房ではサンプルごとに倍率を直線的に変え、切り出しの後にフェードを適用します。
そのため、クリック音のような短い段差を抑えたい終端や、急に始まる音を和らげたい冒頭に向きます。元の録音にあるノイズ自体を取り除く機能ではありません。
音量の倍率とクリップを数値で見る
音量スライダーは100%を基準に、サンプル値へ倍率を掛けます。実装では倍率後の値が -1〜1 の範囲を超えると、その範囲に切り詰めて警告します。上限に当たった波形は元の山の形を保てず、ひずみの原因になります。
出力前の値 = 元のサンプル値 × (音量% ÷ 100)
保存する値 = -1〜1 の範囲に収めた値
| 元のピーク値 | 設定 | 倍率後 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 0.60 | 100% | 0.60 | 上限内 |
| 0.60 | 150% | 0.90 | 上限内 |
| 0.60 | 180% | 1.08 → 1.00 | 上限でクリップし、警告対象 |
目的ごとの設定の考え方
- 頭や末尾を自然に始める・終える: 切り出したあと、必要な端だけに短いフェードを加えます。
- 全体が小さく聞こえる: 音量を少しずつ上げ、生成後に試聴します。警告が出たら100%へ戻すか、倍率を下げます。
- 区間内の音量差をそろえる: このツールは自動調整やコンプレッサーを備えていません。一定倍率を掛けても、小さい声と大きい声の差は基本的に残ります。
- 複数ファイルの境目を滑らかにする: ファイルは選択順につながりますが、重ねて混ぜるクロスフェードはありません。接続位置は保存前に試聴してください。
編集処理の順序は「切り出し → フェード → 音量」です。フェードの合計時間は、切り出した後の出力時間以下にしてください。